浮いていたボーカルがこれだけで「ぽく」なる!?簡単ボーカルMIXの裏技~コンプレッサー編~
皆さんミックスしてますか!
私は絶賛締め切りに終われている毎日です…。
そんなことはさておき、ミックスをしているときにこう思ったことはありませんか?
「なんか違うんだよなぁ…」
「”ぽく”、ないんだよなぁ…」
この何とも言い難い難しさ、ありますよね。
実際ミックスに正解というのはハッキリしないのですが、それとはまた違う、なんかぽくない問題。
今回はこの解決策をご提案します!
実は、
お持ちのコンプレッサー一つで音は激変します!!!ぽくなります!!!
ということで本題に入ります!
「こんなコンプレッサーが使いやすい」コンプの選び方
正直基本的なコンプレッサーなら何でもよいのですが、それを言い始めてはきりがないので一応使いやすいコンプレッサーの特徴などを紹介しておきます。
見た目はアナログな方が使いやすい
アナログ…
とはいってもノブがあったりメーターがある、という程度でいいです。
Ableton等のルーパー系のDAWだと、付属エフェクトの見た目が近代的すぎてわかりにくい物があるので、それは注意というだけですね。
もちろんそれでもできないことはありません。(ただ、僕的にはやりにくいです。)
僕が好んで使うのはTDR Feedback compressor2です。
コンプレッサーに必要なパラメータがそろってますし、何より見やすくシンプルです。効果のふり幅も広く、ナチュラルにもがっつりでもかけられます。
あと、このプラグインは無料なのでそこも良い点ですね。
とりあえず、音の入力が視覚的に見れる「メーターがある」ことが最優先事項で、あとは「スレッショルド」「レシオ」「アタック」「リリース」に相当するパラメータがあれば十分です!
味付けのあるコンプは注意
中には真空管をシュミレートした物や、歪を負荷するものがあります。
もちろんそれも良いのですが、今回お話する内容どおりにやってしまうと効果が変わってしまうかもしれませんし、なによりその味が色濃く出てしまうと思うような音にならない場合もあります。
よくわからないときはレビュー等の口コミを見てみると良いですね。
実際何でもよい
最初にも言った通り、正直なんでも良いです。
今回やるのは、コンプレッサーらしい「音量を整える」効果を使ったものなので、どのコンプレッサーでもできます。
ただキャラが強すぎると使いこなせずに、ソフトに使われる感じになってしまうのでシンプルでアナログチックなものが良いです。
(着こなせないのに特徴的な服を着てしまってなんかダサい!っていうあの着られている感ですね。)
「見る場所は1つだけ」コンプの操作方法
コンプの使い方、実は結構シンプルです。
使い方を知らないとどうしようもないので一応さらっておきます。
既に使い方を知っている方は飛ばしていただいても構いませんよ!
コンプの構造をまず知ろう
コンプというのは一言で言えば「潰す」のが仕事です。
細かく言えば、「一定ラインを超えた物を指定された分潰す」ですね。
「スレッショルド」で一定ラインを定め、
「レシオ」で一定ライン以上の音をどのぐらい圧縮するのかを指定し、
「アタック」と「リリース」で超えてからどのくらいで効果を出して抜けてからどのぐらいで効果をやめるのかを決めます。
スレッショルドはデータによって調節しなければならない値なので、何かを参考にするときは値を過信しすぎないようにしましょう。
ゲインリダクションを見よう!
ゲインリダクションというのは簡単に言うと「どのぐらいの音に効果が出ているのか」ということです。
コンプはスレッショルドの値だけを見ても意味がなく、スレッショルドを調節しながらそのゲインリダクションを見ることでどのぐらいの効果を出すかを決めます。
これはドライミックス(元の音源と混ぜる)のとは全く意味が違うので、まずはドライ音源を混ぜずにゲインリダクションを見ましょう。
このメーターは物によって値や動き方が違うので、それに合わせてできるよう耳でもしっかり確認しましょう。
重要なのはレシオとスレッショルド
アタックやリリース、ほかにもニーやクリップなどの値も大切ですが、一番大切なのはレシオとスレッショルドです。
レシオ=深さ
スレッショルド=広さ
だと思ってください。
正直この二つだけでどうにかはなります。
残りのパラメータはプリセットのままでよいでしょう。
使い方として簡単な例を挙げておきます。
音量を全体的にそろえたい場合は、広く浅くしていく必要があります。
なぜなら、
深くしてしまうと音量の大きい部分への効果がですぎますし、狭くしてしまうと小さい部分に効果がでず音量をそろえることができません。
音圧を上げたいなら狭く深くする必要があります。
これも、
広くすれば大きい部分への効果が出すぎてしまいますし、浅くするとあまり効果がありません。
この2つのイメージが理解できれば十分です!
では肝心の裏技に入りましょう!
肝心の裏技は2つ!
ここからが裏技本編です!!
是非実際に試して、その効果を確かめてください!
ボーカルに2本掛けで高音圧に
ボーカルミックスで1本のコンプでどうにかしている人が結構います。
もちろんオートメーション等で調整したうえだと思いますし、強くコンプをかければ全体にも効果がいきわたります。
しかし、それではコンプの色が出すぎてしまいますし、何より微調整が難しいです。
とはいっても、
「単体で聞く分には最高なのに曲に入れると声が浮く!!!」
なんてことはありませんか?
そんな時は2本掛けで解決です!
まず1本目で音量を整えます。本来のコンプのお仕事です。
次に、2本目で突き出ている音量をぶっ潰します!!!
これだけです!
…はい、これだけです!!(笑)
これ、単体できくとあまり効果がないように感じるのですが、オケと混ぜるとその違いに気づけると思います。
※単体で効果が分かりにくい理由も説明します。
具体的な方法は後々紹介しますが、まずはこれがなぜなのかを説明します。
まず、人間の耳というのは自動的に聞こえる音量を調節します。
静かな空間では細かい音を拾い、大きな音のする場所では小さな音は聞こえにくくなります。これは日常的に、反射的に行われます。
ただし、この効果というのはそこまで適応能力が高いわけではなく、特に大きな音を聞いている状態では小さい音が極端に聞きにくくなります。
これが曲の中で発生します。
例えば、サビ等の盛り上がる部分では特に抑揚が付きますよね。
その抑揚の中でも大きな音量を合わせるので、後ろのカラオケやその他の歌が小さく感じます。
これのせいでボーカルの音量を上げたくなりますが、そうすると次はカラオケが聞こえません。
ですが音量を下げれば結局きこえなくなります。
これが、声が浮いてしまう状態です。
だから、突き出る部分…要は耳が音量調節をしてしまう部分を下げることで調節機能を使わなくてよい状態にしてあげよう!ということです。
(最終的に全体にそれをやるのがマスタリングです。)
先ほど「単体ではわかりにくい」と言ったのは、反射的に行っていることなので変化に気づきにくいと理由からなので、わからないからといって自分の耳を責めてはいけませんよ!普通無理ですから!(笑)
大体のイメージは理解していただけましたか?
具体的な方法です。
1本目:音量をそろえたい部分までゲインリダクションを調節し、レシオは余り深くかけずに音量をそろえることだけに目的を絞る。
2本目:サビ等の盛り上がる部分で時々反応する程度にゲインリダクションを調節し、レシオを深くかけて音量をぐっと下げる。
これだけなんです。
楽器に比べるとボーカルというのは情報となる要因が多く(息や活舌、声質など)、しかも声というのは日常的に耳にしているものなのでその違いに敏感です。
なので、楽器に比べて歌声というのはなじませるのが難しいんですよね。
だからこそ、ほかの楽器はちゃんと聞こえるのに声だけ浮く…なんてことが発生するんです。
ボーカルトラックに一つコンプを付け足すだけで激変しますので、是非お試しください!
カラオケにコンプで激変
ボーカルが浮く問題、実はカラオケ側に問題があるかもしれません!
これに触れる人はあまりいないのですが、特に歌ってみたではよく見かける事例です。
正直、素人が歌で適切に音量調整をするのは無理です。
なによりその違いを判別することすら難しいでしょう。
基本歌う側も「音程」と「リズム」と「声質」にしか関心が行きませんし、それをコントロールするには専門的なトレーニングが必要です。(それを行っているのが声楽家の方々です!!マジでヤバいんですあの方々!!)
…で、それがカラオケにコンプをかけることと何が関係あるのかって?
単純です。
カラオケが俺らに合わせろ!!
ということです!(笑)
Mixしていても、AメロBメロは小さいのにサビが馬鹿でかいとか、そういう問題おきますよね。
もちろんそれらの音量自体を調節しても良いんですが、それだと元の音源のバランスが崩れます。
特にボーカルは録音時の声質自体距離感が変わってないので違和感が凄いです。
また、そのままマスタリングにかけると相当の腕前の人じゃない限りはアンバランスになるかぶっつぶれて台無しになるかのどちらかでしょう。
そんな時、コンプで全体的な音量を押さえて均一にしてしまえば問題が解決します。
歌声というのはある程度均一な音量です。
だから、それに合わせて先にカラオケも均一にしてしまおうという感じです。
実際、現代のポピュラーな曲の盛り上がりというのは、音量よりも構成や和音進行に依存しています。なにせマイクも通さない生演奏をすることが殆どないからです。
なので、カラオケに手を加えたからと言って何か問題が起きることはありません。
どちらかというと、マスタリングが楽になるのでアマチュアにとっては好都合ですね。
ただし、これが本チャンのマスタリングのようになってしまうと最終的なマスタリング段階でかけすぎになってしまうので、具体的なやり方を紹介します。
とはいってもやり方はシンプルです。
カラオケのトラックにコンプを広く浅くかけ、そのあとEQで音質調整をする。
これだけです。
(EQ使っとるやんけ!とか言わんでください…仕方ないんです…。)
聴き具合は曲を聴きながら調節ですが、目安は「それっぽいなぁ」と思うぐらいです。
ボーカルもそうですが、我々が耳にしてきた音楽の情報量というのは意外にも膨大です。なので、自分がそれっぽいなぁと思ったらそれに従ってみましょう。
自分がそれっぽいと思う時点で、同じようにそれっぽいと思う人が存在するのですから。
よくわからない場合は、入っているマスタリング用のプリセットを使用しましょう。
そのままだとかかりすぎる場合が殆どだと思うので、ドライミックスやレシオ・スレッショルドを調整して軽くかけましょう。
もちろんそこまでかかっていない場合はそのままでも、補強しても構いませんよ。
どうですか?
BGMに振り回されていたのが、ぐっと楽にシンプルにまとまったと思います。
ボーカルばかりに原因を求めがちですが、実際にはこんな方法もあるんです!
まとめ
いかがでしたか?
ボーカルが浮く問題はミックスの永遠の課題なわけですが、今回ご紹介した2つはかなり良い方法だと自負しています。
特に、今既にある環境ですぐ使えるのも裏技っぽくて好きです。
どのエフェクトにも言えることですが、やっぱり一番大事なのはその効果をちゃんと理解することです。
そうすることで、今回ご紹介した2つの方法をより有効的に使いこなせるようになります。
よくわからないときは、プリセットを使ってからパラメータをいじってみるとわかりやすいですよ!
Twitterではこのようなミックスについての小話から音響機材の使い方、はたまた演奏についてなど、音楽についていろいろ触れていますので是非フォローしてくださいね!
@kakko_blog
少しずつ歌い手さんやMIX師さんが増えてきたので豆知識系のツイートも増やしますー!
— かっこの人「」 (@kakko_blog) 2020年7月9日
ちなみに、「歌ってみたのマスタリング」ってとんでもなく狭い視野にいる人が多くて、1度マスタリング自体の意味を確認してみると面白いかも!
「音圧をあげる、M/S処理をする」と思ってる人は注意です⚠️
それでは!
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