音楽色々屋さんの田中:備忘録帳

備忘録帳的な使い方をしてます。お役立ち情報があったりなかったり。

なぜモニター機材で作業する必要があるのか。

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みなさんMIXしてますか!

僕は最近モニター機材を色々試して、積極的にスピーカーを使うようになりました!


さて、今回はそんなモニター機材のお話です。

 

皆さん、一度は考えたことが有るのではないでしょうか?

「結局聞く環境は人それぞれ違うのに、なぜわざわざモニター専用の機材を使う必要があるのか?」

 

誰しも通る疑問だと思います。

また、人によって意見も多種多様で、中には「関係ない」という人もいます。

 

今回はそれについて結論を出すのではなく、記事を書きながら僕自身の考えをまとめてみようと思います。
ぜひ皆さんも一緒に考えながら、よければ意見などもブログ・Twitterにお寄せください!

 

※今回の内容は完全に独断による思想であり、他者の思考や方法を否定的に批判するものでは有りません。

 

 

なぜ普通の再生機器ではダメなのか

今回の主題は「なぜモニター機材で作業する必要があるのか」です。

それを考えるために、まずは「なぜ普通の再生機器(リスニング用)ではダメなのか」について考えてみます。

 

なぜ、普通の再生機器(リスニング用)ではダメなのか。

もう少しニュアンスを加えて言うならば「なぜ適さないのか」。

 

僕はその理由をこう考えています。

根本的にそれぞれの目的が違うから。

 

では、具体的にどう目的が違うのか、モニター用とリスニング用に分けて考えてみます。

 

モニター用とリスニング用は何が違うのか

 

モニター用とリスニング用の違いは、おそらくこの2点にまとまると思います。

1.情報優先か、使用感優先か

2.キャラクター(味付け)の有無

 

一つずつ見ていきましょう。

 

1.情報優先か、使用感優先か

ヘッドフォンやスピーカーなどから出ている”音”というのは言ってしまえば”情報”です。

音という振動に含まれる音色やリズム、音量といった情報を耳で受け取り、その情報を頼りにミキシングをするわけです。

 

単純な話、欠落したり不足した情報があれば確認することができず調整できないわけで、それはミキシングをする上で致命傷です。

極端に言えば、ボーカルミックスをするのにボーカルが聞こえなかったら手の施しようがないですよね?

それが細かい部分で発生してしまうのです。

 

では本題。

リスニング用とモニター用は何が違うのか。

簡単に行ってしまえば

 

リスニング用=「音と楽しむための音を出す」=使用感優先

モニター用=「情報をより多く忠実に聴き取る」=情報優先

ということが出来るでしょう。

 

これまた極端な話をすると、

リスニング用は本来の情報量の1%しか情報が出ていなくても音が良ければそれで良い。

対して

モニター用は100%の情報が出せているなら音質がゴミでも良い。

 ということになります。

 

もちろんそんな極端な製品は売り物になりませんが、皆さんも同じような経験をしたことがあるのではないでしょうか?。

 

キャラが濃いけど音楽を聴くには楽しいイヤホン。

繊細に聞き取れることができるが、音楽を聴きたいとは思わないモニターヘッドフォン。(ちなみに僕はSONY赤帯で音楽を聴きたいとは思えません。)

などなど、用途に得手不得手のある物に出会ったことがある人は多いでしょう。

 

僕自身がそうですが、モニター用とリスニング用は完全に分けている人も中には多いでしょう。

 

そのようなことから、リスニング用とモニター用では根本的に目的が違い、モニターを目的としていないリスニング用では十分な情報量を得られない可能性が高いから、モニター用(情報優先)の物を使用する方が良いといえます。

 

 

 ここでまた一つ疑問が残る人もいるでしょう。

「え?鳴ってるなら結局全部同じ情報量が出てるんじゃないの?」

 

言いたいことはわかります。

では、極端で簡単な例を一つ上げましょう。

 

皆さん、

・手持ちのスマートフォンのスピーカー

・手持ちのイヤホンなどの再生機器

音の善し悪しを無視した上で、音楽を聴くとき上記のどちらの方がより多くの楽器の音を聴き取れますか?

 

もし先程の「鳴ってるなら聞こえるだろ」の理屈が正しいなら、双方のキャラクターの違いはあれど聞こえてくる情報量に違いは無いはずですよね。

 

では実際どうでしょうか。

まぁ大抵の方ならスマホの方が聴きにくい事でしょう。

根本的に聞き取れない音(ベースとか、パーカッションとか、ストリングスとか)、結構ありますよね。

それはスマホのスピーカーと他とでは、根本的に出力出来る音域や得意な物が違うからです。最近では随分進歩しましたが、情報量においてはまだまだ安物のイヤホンにも敵いません。


もちろん中には逆の人もいるかもしれませんが、両方に情報量の差が有ることに違いは有りませんよね。

 

このもっと繊細な差が、リスニング用とモニター用で起きてしまうのです。

 

2.キャラクター(味付け)の有無

次にキャラクター(味付け)の有無について。

 

イヤホンやヘッドフォン、スピーカーなどをいくつか使ったことのある人ならわかると思いますが、それぞれ音色が違いますよね。

 

だからこそ、

「どうせ人によるなら自分も好きな音で聞けば良いじゃん!」

という考え方もあるでしょう。

 

言いたいことはわかりますが、これには大きな問題があります。

 

それは、「偏った音になる」ということです。

 

例えば、低音と高音の聴いたドンシャリヘッドフォンでミキシングしたとしましょう。

すると、その曲はドンシャリヘッドフォンで聞けば理想どおりの丁度良い音になるかも知れません。

 

では、

・中音域中心のイヤホン

・低音がもっと効いたスピーカー

で聴くとどうなるでしょうか?


前者は低音も高音も足りずスカスカの音になります。

後者はただですら効いている低音がもっと出るので低音ばかりのアンバランスな音になります。

 

しかも、別の人がそれぞれの再生環境に合わせていろんな曲をミキシングしたら…どの曲を効いてもバラバラな音質になってしまって聴けたものじゃないでしょう。

 

これがキャラクター(味付け)に左右されてしまっている状態です。

 

 

では、モニター用の機器だとどう違うのか。

モニター用の再生機器は基本的に「普通の音」を目指して作られます。

よく耳にする表現だと「フラットな音」とか「味付けのない音」というやつですね。

 

では、この味付けのないフラットな音でミキシングされた曲で、先程の例を考えてみましょう。

 

ドンシャリヘッドフォン

・中音域中心のイヤホン

・低音がもっと効いたスピーカー

 

これらすべて、キャラクター通りの音が出てくれるはずです。

もちろんそれぞれの環境に完璧に合わせた音にはかなわないかも知れませんが、どんな再生環境でも良い音で鳴ってくれるはずです。

また、それぞれの使用者はその再生機器に耳が慣れるので、低音よりのバランスを持ったイヤホンで低音よりの音が鳴ってもなんら問題は無いはずです。

 

だから、ミキシングする時はなるべく味付けがなく素直でフラットな音で作業するほうが良いとされるのです。

そして、そのミキシング向きの音を鳴らすための物が、モニター用の再生機器なわけです。

 

 

以上2点

1.情報優先か、使用感優先か

2.キャラクターの有無

 

 

がモニター用とリスニング用の違いです。

 

それでは最後に、逆にモニターヘッドフォンでなくても良い場合について考えてみましょう。

 

 

モニター用じゃなくても良い場合もある

今まで「ミキシングするならモニター用!」と言わんばかりでしたが、必ずしもそうだとは限らないのが難しいところ。

 

その中でも、特にモニター用じゃない方が良い場合について取り上げておきます。

 

それは、「再生されるシチュエーションがわかっているジャンル」です。

 

「再生されるシチュエーションなんて人それぞれだし、わかるわけ無いだろ!」

と思われるかも知れませんが、大抵求められてる音質がわかりきってるジャンルが有るんです。

 

その中でも一番確実なジャンル。

 

それは

HipHopやEDMなどのダンスミュージックです。

 

HipHopの主流として808(エイトオーエイトや八百屋なんて呼ばれますね)の長く伸びた太く低い音が、ドラムのキックやベースラインとしてほぼすべての曲に使われています。

HipHopの世界ではキックと808は別物なんですが、それは他ジャンルの人が混乱するのでここは目をつむってください…

 EDMも言わずもがな。

 

さて、これらの共通するシチュエーション。

もうなんとなくおわかりでしょうか?

 

こういう曲が流される場面で求められるのは優しい音色でも綺麗でリアルな空気感では有りません。

 

「ノれる低音」「ハッキリとした高音」です。

 

必ずしもそうとは言い切れませんが、傾向としては大体どの曲も同じです。

 

想像してみてください。

楽しく踊ったりノッたりしたいクラブやドライブ、パーティーで低音も高音も少ない優しい曲なんて流しますか?(香○とか)

そんな曲をずっとかけられても踊れないですよね。

 

これは曲の善し悪しに関わらず、根本的に求められている物が違うのです。

 そして、どんな場所であれ、HipHopやEDMを流す場面というのは上記の2点が必須なはず。

そうすれば自ずと再生させる環境は低高音に寄った物になるでしょう。(それこそ低音ブースト系のヘッドフォンやウーファーの効いたスピーカーなど)

逆に、中音域だけのアコースティックな物はまぁまず少数でしょう。

 

ということは、ミキシングするときもそれを前提にそれに似たリスニング用の再生機器で再生するほうが良い結果が得られる場合があるということです。

 

これが、「モニター用を使用しないほうが良い場合」です。

 

もちろん細かい調整にモニター用の機器を使用するのは必要です。

ですが、最終的な仕上げはやはりその再生環境を想定したもので行いたいところです。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

今回お話させて頂いた内容をまとめますと

「モニター用とリスニング用は根本的に用途が違う」

「リスニング用では必要な情報が得られないかもしれない」

「モニター用は情報を受け取ることに特化しているのでその問題が起きにくい」

「だからモニター用で作業するべき」

 

ということになります。

 

 

最後までありがとうございました!
もちろん異論反論あると思いますが、今回はここらへんで終わろうと思います!

また何か新しい情報や、新しい意見を見つけました再度書いてみようと思っています。それまでは一旦休憩。

 

 

皆さんはこの記事を読んでどう感じましたでしょうか?
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