結局MIXのモニターはヘッドフォンが正解という話。
皆さんMIXしていますか!!
最近ようやく依頼が片付いてきて、少し余裕ができたのでブログを書いていこうと思います!
早速ですが、本日はミックスに適しているモニター機材は何が正解なのか、という話。
久々にも関わらず危ないテーマですねぇ。
僕としての結論は、ヘッドフォンが正解。
…っと、それではこの記事の意味がありません。
正確には、”総合的に優先順位が高いのはヘッドフォンだ”と言う事です。
言い換えれば、無難な回答はヘッドフォンが一番だよねという話。
では、なぜヘッドフォンが無難で正解なのか、そこについて解説します!
また、実際に選ぶときの環境や用途別のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください!
なぜヘッドフォンが正解?
恐らく、この記事を読んでいる有識者の方は
「M/S処理にはスピーカーが必須だ!」
「イヤホンの機動性や遮音性は大きな利点だ!」
「てかケースバイケース!」
と顔を真っ赤にしてお怒りでしょう。
いやぁ…
そのとおりなんです!!!
上に書いたような意見は本当にその通りで、M/S処理等の空間の調整には結局スピーカーが必須ですし、イヤホンもかゆいところに手が届くメリットの多い選択肢です。
じゃあなぜヘッドフォンが正解だと言えるのか。
もっとわかりやすく言い換えれば、「ヘッドフォンは他2つに比べて総合的にバランスが良い、だから一番!」ということです。
冒頭でネタバレしてしまいますが、決して「ヘッドフォンがあればよい」なんて意味ではなく、あくまで一番選ぶならヘッドフォンだと思う、というお話です。
今回はそんな僕の考えについて書いていきます。
ヘッドフォンは優等生
ヘッドフォンを言い表すとすれば、優等生という言葉につきます。
他二つに比べて特別劣る部分がなく、バランスのとれた物だからです。
それを説明するために、まず各々の特徴を「空間認識」「コスパ」「使いやすさ」の三点に絞ってまとめてみます。(音質、解像度はものによるので除外します。)
異論反論は有るかもしれませんが、それぞれ一長一短ですから取り敢えずイメージとして押さえてください。
▢空間(距離感)
距離感はMIXの極意ですから、距離感や位相を聞き取れるかは大変重要なポイントです。
スピーカー:★★★★★
・発音源と耳との距離があり、空間認識においてはずば抜けて有利。必須。
ヘッドフォン:★★
・発音源が近く空間がとりにくいが、構造上イヤホンよりはマシ。
イヤホン:★
・空間認識においては超絶不利。利点でもあるが分離しすぎて空間はつかめない。
[コメント]やはりここはスピーカーが断然一番ですね。ヘッドフォンはマシという程度でしょう。イヤホンは厳しい。
▢コスパ(音質と値段)
値段に対して音がどれだけよいか、という意味でコスパを考えます。予算がいくらでもある人以外は割と重要です。
スピーカー:★★
・とくに低価格帯のモニタースピーカーは細かい音のモニタリングが難しく、コスパを気にするならスピーカーは一番不利でしょう。
ヘッドフォン:★★★★★
・各価格帯で考えても、他2つに対して音質と価格のバランスが良くコスパの良い商品が多いです。同じ予算でどれかを買うならヘッドフォンですね。
イヤホン:★★★
・スピーカーよりはコスパが良いですが、表現力の制約の多さや物によってピンキリの差が激しいので難しいです。ただし、超格安(2千円未満)に限定して言えばイヤホンの音が一番マシです。
[コメント]ここでヘッドフォンの強みが出ます。全体的にコスパが良いですね。
▢使いやすさ
総合的に使いやすさや安定性を考えます。使いやすさは立派な利点です。
スピーカー:★
・再生環境自体を選ぶので、相当予算をかけたり環境の整っている人じゃないと使いやすいとは言えないでしょう。ちゃんとスタジオを用意したり、こだわった部屋を用意するなら良いと思います。
ヘッドフォン:★★★★
・外音を完全に遮断するわけではないので完璧ではありませんが、スピーカーよりは場所も環境も選ばず常に安定した音で聴くことができます。
イヤホン:★★★★★
・携帯性、遮音性共に最高ですから、使いやすさで言えば随一ですね。常に同じ環境で安定した音が聴けますから、色んな場所でMIXをする人や外音がうるさい人はオススメです。
[コメント]ここではイヤホンに軍配があがり、その次にヘッドフォン。人によりますが、スピーカーは使いやすさにおいては難しい面が多いでしょう。それだけ奥が深いということでもありますが…。
以上です。
さて、この中で総合的にバランスが取れているのと言えば…やっぱりヘッドフォンですよね。
場所を選ばず、コスパが良く、安定した使い勝手。
これに間違いは無いと思います。
場所や環境、予算をよく選ぶヘッドフォン、癖があり難しい点の多いイヤホン、どれも良い選択肢ですが、ヘッドフォンはそれら程大きな欠点がありません。
ということで、総合的に考えて最初にお金をかけるべきなのはヘッドフォンだと僕は考えます。
※パラミックス等をするときに、空間こそ最優先!という人はスピーカーの方が良かったりもしますが、今回は特例として除外します。
選ぶときのポイント
ここからは実際に選ぶときのポイントをご紹介します!
皆さんの希望に適したものを選びましょう!
予算
【1万円以下】
ピンキリなので、ヘッドフォンまたはイヤホンから選びましょう。口コミなどをしっかり確認できる物でないとモニター用途としてはリスキーです。スピーカーは予算オーバーなのでほぼ無理です。
この価格帯は正直モニター用途として使える物が少ないので、諦めて日常使いできる物を購入するのも良いでしょう。結局リスナーはそれを使うわけですから、取り敢えず音の良い物を模索しましょう。
[オススメ]
少し予算をオーバーしますが、モニター用途としては文句無しでしょう。
【2万円以下】
無理をすればスピーカーも買えますがたかが知れてるので、ここは無理をせずにヘッドフォンやイヤホンに集中して購入するのがオススメ。この価格帯なら大きなハズレはありませんが、モニター用途として適しているか口コミを確認しましょう。
あの有名なCD900STも2万を切りますから、ここまで予算が用意できればそう困難なこともないでしょう。
[オススメ]
SONY MDR-CD900ST 1万8千円前後
言わずと知れたモニターヘッドフォン、通称赤帯です。個人の趣向を突き詰めない限りは必要十分な機材です。
【4万円以下】
イヤフォンかヘッドフォンとともにスピーカーも揃えるのが無難です。片方に予算をかけるのもよいですが、この価格帯はそこまでの大差がないので分断して使う方が先行投資としては良い効果が得られると思います。
SONYのモニターヘッドフォンMDR-CD900ST(いわゆる赤帯)や、最近大人気なJBLのPROFESSIONAL 104-Y3を揃えても4万円を切りますから、できればこのくらいの予算は用意しておきたいところですね。
[オススメ]
SONY MDR-CD900ST 1万8千円前後
JBL PROFESSIONAL 104-Y3 1万7千円前後
リスニング用のスピーカーという感じは否めませんが、音は十分モニター利用に耐えうる音質を持っていますし、位相の確認などのスピーカーの用途としては必要十分だと思います。スピーカー一本で突き詰めたい人には不向きかも。
【4万円以上】
此処から先は趣向や求める環境によるので、お好きなように選んで頂いて良いと思います。もし何も持っていなくて取り敢えず揃えたいということであれば、先程紹介したSONYの900STやYAMAHAのモニタースピーカーのHSシリーズなどの標準的な物を揃えておくと失敗もせず無難な結果が得られると思います。
スピーカースタンドやアンプなどにこだわることもできますから、そちらに資金をさくのも良いでしょう。
また、部屋自体の吸音なども効果がありますから、相当予算が余りそうな方は最初のうちのやっておくと良いかも知れません。
[おすすめ]
YAMAHA HS5
音は素直ですごく良いのですが、スピーカースタンドやサーキュレーターをしっかり用意しておかないと真価は発揮できません。それも合わせて購入することをオススメします。
環境
環境によってもまた聞こえてくる音や必要な機材は変わってきますから、そこも押さえておきましょう。
「外音」
部屋の中のクーラーがうるさい、外の交通量が多くてうるさい、などの外部からの音はMIXの邪魔になりますので、そのような環境で作業する人は遮音性の高いイヤホンやヘッドフォンを選びましょう。
予算がなくとも、イヤホンなら大抵遮音性が高いので口コミを見ながら検討してみてください。
「反響」
部屋が広い、物が少ないなどで反響が大きい場合は吸音対策なども考えねばなりません。もちろん予算に余裕が有る方限定の話ですが、実際にやってみると全く聞こえてくるものが違うので頭の片隅にはおいておきましょう。
反響があまりにひどいならスピーカーよりもイヤホンやヘッドフォンに予算を割いておいたほうが良い効果が得られると思います。
「使用場面」
外で作業することが多い人や、移動が多い人、また日常的にモニター環境で音楽を聴いておきたい人などはやはりスピーカーよりもその他に予算をかけておくほうが良いでしょう。
逆に家でしか作業しない人や、そこまで機動性をきにしない人はスピーカーの検討を強めて良いと思います。
まとめ
改めてまとめると、
「総合的に欠点が少なくバランスが良いのは”ヘッドフォン”なので、まずはヘッドフォンを買うべき」
「人によってはイヤホンのほうが良い場合もある」
「予算があるならスピーカーも揃えておくのが理想」
この3点ですね!
もちろん、冒頭にも書いたとおりケースバイケースですから、自分の中に理想の環境があったり、求める形があればそれに従うのも良いと思います。
ただ、まだそういう物がなかったり、まずは無難に揃えたいという人は後半の選び方を参考に検討してみてください!
結局慣れればどの環境でもMIXはできますし、それに合わせたやり方になっていくのでそこまで難しく考える必要がないとも言えるかも知れません。
上手い人は機材が安くてもうまいし、下手な人はいくら環境が整ってても下手ですから、あくまで思考材料程度に思ってます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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