音楽色々屋さんの田中:備忘録帳

備忘録帳的な使い方をしてます。お役立ち情報があったりなかったり。

【歌ってみた機材】歌ってみたならコンデンサーマイク、は嘘です!!

先に断っておきます。

 

この記事は釣り…じゃないんです。

 

「嘘」とは?

わざわざタイトルに

「嘘」

と入れたのは釣りのためではないです。

 

実際に事実からかけ離れたことを確証もなく言っている人が沢山いるからです。

 

殆どの歌っていた機材に触れる記事が

「ボーカル録音は当然コンデンサーマイク

ダイナミックマイクなんてありえない」

というような記事を書きます。

 

当たり前のように

コンデンサー>ダイナミック

と紹介するんです。

 

 

以下の文句を書いている記事を見たことはありませんか?

「ダイナミックでは録れない低音高音がコンデンサーなら録れる」

コンデンサーで入る雑音はダイナミックでも入るから変わらない」

ダイナミックマイクは音質が悪い」

ダイナミックマイクでは感情表現ができない」

などなど…。

 

多少なり、歌ってみた以外で音響に触れてきた人なら

「へぇ~(笑)」

としか言いようのない内容です。

 

僕からすると、

本当にレコーディングとかミックスとかしたことありますか…?

と思ってしまうほど、あまりに安直で矛盾した内容です。

 

この記事ではそれらの言い分がいかに安直で、どれだけ的外れであるのかの説明はもちろんのこと、実際に何を選べばよいのか、今後記事を読むときに何を気を付ければよいのかも説明していきます。

 

 

もし批判や疑問があればどんどんコメントやメッセージを送ってください!

記事の最後にTwitterも載せていますので、そちらからでもどうぞ!

 

よくある言い分へ1問1答

記事を読んでいる方になかには

「~なんだからコンデンサーの方が良いんじゃなにの?」

「~は正しくない?」

という疑問を持っている方もいると思うので、細かい話をする前に一つずつ簡単に答えていきます!

 

これを読むだけでも、コンデンサーマイクを選ぶことが正解じゃないことが分かっていただけるはずです。

 

ダイナミックでは録れない低音高音がコンデンサーなら録れる

単純な周波数域だけで言えば、殆どのダイナミックマイクがボーカル録音に必要な音域をカバーしています。

加えて、ミックス時にダイナミックマイクが苦手な音域(超低音域)はカットしがちです。

なので、そこにコンデンサーマイクの絶対的な必要性はないです。

コンデンサーで入る雑音はダイナミックでも入るから変わらない

こういうことを書いてる記事に限って「ダイナミックマイクはライブ向き」とか書いてるんですよね。

なんでライブで使ってるかわかってるのでしょうか?(笑)

 

ダイナミックマイクの弱点でもある感度の低さは、PCのファン音や環境音を避けるのに最適です。正しく設置すればそのマイクの指向外のノイズはかなり軽減するいことができるはずです。

 

根本的に特徴が違うので、変わらないなんてことはありません。

ダイナミックマイクは音質が悪い

まったく同じ環境下であればそういう場合もあるでしょう。

ただし、環境や目的次第でそうとは限りません。

 

今回の場合は歌ってみたですが、正直歌ってみたにそこまでの音質は必要ないんです。

細かいことは割愛しますが、歌ってみたならば最低限の音質でも十分に良いものが作れます。

 

試しにバンドのライブ映像をYoutubeで見てみましょう。

ダイナミックマイクの代表格であるSM58を使っている動画なんか良いですね。

 

 

どうでしょうか、音が悪いと感じますか?

もちろん、本当に丁寧に音を録りたいというならば別でしょうが、歌ってみたで歌を録るだけであればSM58でも十分綺麗に録れます。

もしダイナミックマイクを使ったこともないのに音が悪いと思っているのであれば、Youtubeなどで体験してみると良いでしょう。

ダイナミックマイクの型番+レビューとかで出てくると思います。

きっと想像している物とは全く別物が聞けると思いますよ。

同じ価格ならコンデンサーの方が音が良い

コンデンサーマイクでまともに音を録ろうとすると

・リフレクションフィルター(背後の反響を減らすやつ)

・PCから距離を録れる環境

・ショックマウント(マイクをスタンドにつけるための衝撃吸収器具)

が最低限必要ですが、優に倍を超えませんか?

これも環境次第ということです。

ダイナミックマイクでは感情表現ができない

これはもう笑うしかないですね(笑)

 

それはあくまで

感情表現ができている歌を、少しでも良い状態で届けるためにより多くの情報を的確に収録するための話です。

 

感情表現はあくまで歌い手側の技量です。

 

もし息使い等のことを言いたいのであれば、確かにコンデンサーマイクの方が良いでしょう。

しかし、それはノイズ等のその他問題とのバランスが取れている前提です。

ノイズがある中で息遣いをだそうとしたら…歌ってみたとしては最悪ですね。

 

 

 

 

いかがでしょうか。

このようなものを掲げて「やっぱり歌はコンデンサー!」という人が多いのが現状ですが、そのデメリットを把握していない人が多いのも事実です。

 

もちろんそれらは本当のメリットであったりもするわけですが、デメリットとのバランス次第で逆に弱点ともなりうることを知ってください。

コンデンサーマイクが歌ってみたに向かない理由

これはすでに上記でお話しした内容と重複するので簡潔に。

 

・感度が良い分雑音を拾いやすい

特にPCファンや外の音を拾ってしまうと、編集時に邪魔になります。

これらは除去することもできますが、除去することで音質は劣化しコンデンサーの利点は殺されていきます。

意味がありません。

・安いモデル(1万円以下)だと音が安定せずMIXしにくい可能性もある

あまり言及されませんが、安いモデルの中には収録が安定せず、補正等を行うときに著しく音質劣化を起こす場合があります。

特に最近流行りの格安中華マイクなんてその類です。

また、苦手な音域や音質に対しての差が激しい等、最終的には決して良い音とは言えない状態になっているでしょう。

安定性というのもかなり大切な要素です。

(有名メーカーのものであれば基本そういうことはないのでまだ安心です。)

・無理してコンデンサーマイクを買うメリットは無い

先ほど述べたように、コンデンサーマイクの利点というのは、時と場合によっては逆転することもあります。

なので、予算や環境がないのに無理してコンデンサーマイクを買うメリットは無く、逆にデメリットになってしまう可能性があるということです。

コンデンサーマイクを使うには準備が必要

先ほど軽く触れましたが、コンデンサーマイクを使うなら環境次第で必要なものが増えていきます。

であれば、最初からある程度良いダイナミックマイクを買ってしまった方がずっと安上がりでクオリティも上がります。

 

コンデンサーマイクは高音質」に間違いは無い

読んでいる方の中には、私が

コンデンサーマイクは音が悪い!」

「音質に違いはない!」

と言っているように感じられた方もいるのではないでしょうか。

 

ただ、それは違うということを断っておきます。

 

コンデンサーマイクというのは、構造上ダイナミックマイクよりも取得できる情報量が多く、またそれらの質も良い傾向があります。

構造上当たり前のことです。

 

なので、整った環境下で、互いに真価を発揮できる状態であれば、単純な音質で言うとコンデンサーマイクの圧勝だと思います。

 

しかし、この記事で言いたいのはそこではなく、

「その環境を整えられないと弱点にもなる。」

「それを無視しなければならないほどのメリットは歌ってみた活動に限定すると無い。」

ということをお伝えしたいです。

歌ってみたで重視するべきは音質ではなくノイズ

これはミックスをする人ならわかると思いますが、いくら音が良くても反響音やPCのノイズなどが酷いと、クオリティがぐっと下がります。

 

元の状態しか聞かない歌い手さんは気づかないかもしれませんね。

 

例えば、それらのノイズがのった音源にコンプレッサー等をかけていくと、どうしてもそのノイズ類が一緒に持ち上がってしまい、せっかくの歌声に雑味が混ざるんです。

 

よくあるのは、フレーズの最初や最後の息遣いがそれらのノイズのせいで前に出せないという状態。

どうしても音量が小さくなる部分ですが、歌声の美味しい部分でもあります。

なので編集者としてはもっと前に出すよう編集したいところです。

しかし、そこを上げてしまうと一緒にノイズも聞こえてくるので聞き手はそれで冷めてしまいます。

ならば上げない方がマシだな…と、それを隠さざるを得ないんです。

 

歌ってみたのミックスでは、

「歌声をよりよく見せる!」

よりも

「いかに雑味を消していくか」

が大切です。

 

もちろん歪やコーラスなど、味付けも大事ではありますが、結局それをなじませるために雑味を消していきます。

 

その際、音質とノイズをとるなら、ノイズをとっておいた方が結果として良いものになるでしょう。

 

こういうことを言うと

「今はソフトでもノイズは消せるから問題なし!」

とかいう人が出てきます…。

 

しかし、それは単純に音質劣化を招いていますし、優先したはずのコンデンサーマイク特有の音質を殺すだけなので無意味です!

 

それなら最初からダイナミックマイクを使え、という話!

まぁこういう話をすると無視されるんですけどね…自分でふっかけてきたくせに…泣いちゃう…。

シチュエーション別マイクの選び方

じゃあ実際にコンデンサーマイクダイナミックマイク、どうやって選べばよいのかという話をします。

 

 

チェックポイントはこの三つ!

  • PCの音(ファンの音)がするか、またそれから距離をとることができるか
  • 部屋の反響対策はできるか
  • マイクだけにかけられる予算は1万円以上あるか

一つでも「NO」があれば、ダイナミックマイクを買うことをお勧めします。

 

逆にその状態でコンデンサーマイクを買っても、

真価が発揮できない!

扱いにくい!

となってしまうので注意してください。

 

[おまけ]なぜそんな雑な記事がはびこるのか

これを疑問に思う方も多いでしょう。

なぜ内容の記事が、矛盾している記事が、考えのないコピペのような記事が沢山あるのか…。

これはブログを書いている人じゃないとわからないと思います。

 

理由は単純。

すぐに書けて、PVが集まりやすいからです。

 

僕もそうですが、ネット記事で少しでもお金を稼ぎたい!と思っている人は多く、そのためにはPV数が必要です。

しかし、その中には実際に知識や技術もないのに、ブログネタとして書くためだけに、よく見るような内容を殆どコピペしたような記事を量産します。

それを人を通して繰り返されるので、徐々に質が落ちていき、結果として中身がなくないように矛盾していたり不親切だったりする記事がはびこるわけです。

 

実際にそれを検証したり、経験があったり、考えていたりすればそう安直な話ばかりはできないはずです。

 

ただ、信用を上げるために

コンデンサーマイクが良い!」

という主張に

ダイナミックマイクはダメ!」

という雑な批判を加えて、この記事は良く思考された記事であるというのです。

前者がいくら正しくても、後者の情報が間違っていると全体の情報に支障をきたします。勘違いが生まれてしまうんですね。

 

実際すべてプラスなことしか言っていない記事って信用できないですよね…でもそれを逆手にとったこんな方法があるんです。

 

もちろんすべての記事がそうだとは思っていませんし、ここに書いている内容の中にもその内容を丁寧に書いてくれた人のおかげで知った情報も沢山あります。

 

しかし、それに乗じて適当なことを書いている人も沢山います。

今回僕が批判しているのはそんな人たちについてだけです。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

そのたぐいの記事を書いている人からは嫌われそうな内容でしたが、実際ちゃんとこの点に触れている記事はいくつかつかしか見たことがないです。

(記事を書くために10個ぐらい読みましたが1つしか見つかりませんでした)

 

もちろん、どうしてもコンデンサーマイクが欲しい!

という人にとっては、気持ち的にもコンデンサーマイクを買った方が良い場合もあるでしょう。

また、ある程度環境が整っていなくても、使い方や編集次第でどうとでもない場合もありますから、既に買ってしまった人や今後購入を検討していた人は気に病む必要はありませんよ。

 

僕が今回の記事で伝えたかったのは、

歌ってみたならコンデンサーマイク
というコンデンサーマイク主義は余りに愚直な考え方であり、

実際にはもっと考えなければならない内容がたくさんある!

ということです。

 

 

少々批判的な記事ではありましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!

僕はこのように歌ってみたに関するトピックを発信しています!


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