【ボーカルリバーブ決定版】リバーブの役割、勘違いしてない?【使いこなすための3つのコツ】
みなさんミックスしてますか!
男性声のケロケロってちょっと難しいけど、上手くいくと気持ちよいですね!僕なんて「ウホッ!」って声が出ちゃいます!!嘘です!!
嘘ではないです!
さて今回はボーカルミックスにおけるリバーブの役割、使い方についてお話します。
「カラオケに馴染ませるため」
「ボーカルとBGMの空気感をそろえる」
と思っている方は特に読んでいただきたい記事です!!
また、まだリバーブの使い方に自信がない方も、今までとは違う使い方をしてみたい方も是非参考にしてくださいね!
注意
この記事では基本的にサンプルを用意していません。
というのも、ある一つの技法をつかって「ね?変わったでしょ!」としてしまうと「確かにこの方が良いかも」という風にプラシーボ的に効果や変化を膨張して受け取ってしまい、自分の趣向とは異なった使い方で覚えてしまいます。
結果として紹介する技法が極端なものになってしまい、汎用性が無くなるので実用性もなくなっていきます。
私自身の使い方も紹介はしていますが、あくまで「使い方の道導べ」程度のものであり、そのパラメータや音色はご自身で考えて使用してください。
ボーカルリバーブにありがちな勘違い
まずはタイトル通り、ボーカルリバーブにありがちな勘違いをご紹介します。
正確には、「間違っている」ではなく「もう少し深く考えてみて!」という話です。
このマインドの違いで、クオリティに雲泥の差がでますよ!!
「馴染ませるためのリバーブ」はボーカルを殺している
BGMに馴染ませるためにリバーブをかけよう!
そう考えているうちは、リバーブを使いこなすことはできません。
それどころか、ボーカルを殺しているかもしれません。
なぜって?
だって、そのボーカルは9割9分その曲の中の主役ですよね?
そんな主役を裏方であるBGMに馴染ませる…なんか目的ズレてませんか?
歌ってみたのミックスだとこんなことを思う人もいるでしょう。
カラオケが既にあるんだから仕方ないだろ!
いやいや待ってください。
そんなこと言ったって、聞き手には関係ありませんよ。
ボーカルが浮いているかどうかではなく、聴いていて何かしら良いものがあるかないか、聞き手が持つ価値観はただそれだけです。
正直、MIXを聞いているのは歌手や編集者サイドだけというのも事実でしょう。
実際に大手と言われるような歌い手の歌ってみたを見てみるとわかりやすいでしょう。
そんなに声がBGMと馴染んでいますか?
もちろん曲として素晴らしい完成度の人もいますが、それよりもキャラクターや歌声を全面に出しているものが大半だと思います。(それらのクオリティが低いという話では断じてありません。)
あくまでバランスをとっているだけのはずです。
僕はこれをアマチュア全体、それどころかセミプロぐらいの人でもやってしまう危険な勘違いだと思っています。
あなたがその曲できかせたいボーカルはどんな役割ですか?
主役ならば、馴染ませるなどと思ってはいけません。
そのボーカルが曲の中で輝けるように手を添えてあげましょう。
「ボーカルとBGMの空気感をそろえる」は間違い
これも良くある勘違いです…。
理由は色々ありますが、何より一番なのは
編集加工された音源では、出てくる楽器すべてが同じ空気感であることの方が珍しいから。
最近の曲で全てのトラックに全く同じ空気感を付加するようなミックスをする人は少ないです。
なぜなら、その方が自然だからです。
…え?全部同じ響きな方が自然じゃないの?
という人もいるでしょう。
ただ、そうではないのです。
音声編集をしている人なら想像が容易ははずです。
生での演奏と、その演奏を同じ位置に置いたステレオマイクで録った録音物、同じ音が聴けますか?
無理でしょう。
じゃあ次は、生の音とマイクを立てて編集された音を比べてみましょう。同じ音が聴けますか?
これも無理でしょう。
では、加工された音は生演奏に劣っていますか?
これにYesと答えるのは生音主義者だけなので、どうぞお帰りください。
ここはあなたの来る場所じゃあない。
録音編集されたものには、それならではの臨場感等のリアルさがあります。
生演奏では感じることのできないリアルさです。
サックスの生き使い。
スティックが当たる音。
アコギを鳴らす弦の摩擦音。
埋もれない繊細な息遣い。
さて、これらにすべて同じ空気感を付加するとどうなるでしょうか。
なにせ各々は本来聞こえるはずのない距離のものだったり、また逆に常に近くにある物だったりします。
各々の立ち位置や距離感は曖昧になり、その違いは音量だけではどうしようもないほど不自然に変化していきます。
だから、楽器隊は基本各々に合わせたリバーブがかかっています。
なのにボーカルにはその平均値を載せるんですか…?
と言われれば「あ~!そういう事か!(言い方ウッザ!)」
となっていただけるはずです!(笑)
ご理解いただけた方は、次にリバーブの役割について考えてみましょう。
リバーブの3つの役割
リバーブには三種類の役割があります。
「距離」「空気」「味付け」
この三つです。
それぞれ解説していきます。
距離感
よくコーラスを後ろに下げるためにリバーブを深くかけるテクニックが使われます。
これは響きの量が増えることでリズムや声の輪郭が曖昧になり、その分目立たなくなるからでしょう。
この距離感というのはイメージがつきやすいはずです。
もし今まで意識したことがなければ、音作りの時にその音の周りとの距離感を意識して使ってみると何かつかめるはずですよ!
空気感
先ほどの距離感に似ているようですが違います。
これは、その空間の雰囲気、とでもいうべきでしょうか。
例えば小さなライブハウスでは意外と反響が大きくかつ短いので独特のディレイ効果があります。
逆に、ホールや体育館では延々と遠くまで飛ぶような広がりが得られます。
これに距離感はあまり関係してきません。
じゃあその違いは何かというと、”原音とのバランス”です。
例えば、体育館で声を発している人と聴いている人を想像しましょう。
発している側は、声が良く響くのでその空間が広いことを認識できます。
聴いている側は、響いた声が大半なので輪郭が曖昧になり、その声が遠くにいることを認識します。
この違いです。
味付け
最後に味付け。
リバーブ自体を味付けという場合もありますが、それだと先ほどの距離や空間が分からなくなるので僕は別で考えています。
味付けというのは、リアルではないけれどその声に価値を付加するような物です。
少し想像が難しいですが、コーラスやワウのようなエフェクトをイメージすると良いでしょう。
例えば、トンネルなどで音を発すると反響音同士がぶつかってハウリングのように図太くなる現象があるでしょう。
あれは確かに距離感や空気感でもありますが、その音のイメージ自体が変わりますので、味付けと言えるでしょう。
あとはHipHop等でよく使われている「プシャァァァァ」みたいに「リアルではないけどリバーブやな」って感じの音がまさにそれです。
例えが難しいですが、本来の音のキャラクターを変えてしまうようなもの、それが味付けです。
響き方、響きの音色、とでも言いましょうか。
リバーブ効果のまとめ
これらをまとめると
大事なのは原音と響きのバランス
響き比率が大きいと「遠く」、小さいと「近く」
響きが大きい程「空間が広く」、小さい程「空間が狭い」
そして、その響き方や音色で「キャラクターが変わる」
ということです。
この三つをコントロールしてボーカルに存在感を与えていきます。
リバーブ3つのコツ
リバーブを使いこなすコツをお伝えします!
この三つを意識して押さえるだけで、リバーブの使い方は自分でマスターしていけるはずです。
目的を明確化してから掛けよう
リーバブをかけるとき、その意味を考えていますか?
なんのためにリバーブをかけるのかを明確化するだけでクオリティが大きく変化します。
とはいっても
「何を考えればええんやぁ!」
という人もいるでしょう。
そういう人は、まず先ほど紹介した役割について考えてみましょう。
そのリバーブは
・距離感を調節するため?
・空気感を付加するため?
・味をつけるため?
これを明確化するだけでも調整の目途が立ってくるはずです。
距離感を調整したいならリバーブの量を調整します。
空気感を付加したいならディレイやタイム等、リバーブ自体の音色を調整します。
味つけは距離感や空気感との線引きが曖昧になりやすく、最初は難しいかもしれません。
慣れるまでは、味付け用に別途キャラクターの濃いリバーブ(シンセサイザーやパッドで使うような音色)を使ってその効果を見ていくと良いでしょう。
ここから先は人によって全くやり方も違いますので、いろいろと試行錯誤してみてください。
まだよくわからない人や何か参考が欲しい人は三つ目のコツや僕自身のやり方も紹介しているのでそれを参照してください!
音源の響きに合わせて2重掛け
この使い方はかなり人によって違うので、あくまで僕自身の活用方法として読んでください。
僕がこの2重掛けをするのは
・ボーカルの録音音源がデッドすぎる&カラオケが生っぽい鳴りの曲の場合
明らかにアコースティックな鳴りで生っぽい物だった場合にかなりの効果を発揮します。
・ボーカル音源同士に鳴りの差が大きい場合
例えば片方が部屋鳴りのないデッドな音なのにもう片方は部屋鳴りがある、等。
この2パターンです。
カラオケが生っぽいというのは大抵ライブハウスや部屋で演奏しているような音色なことが殆どです。
あの独特な素早くはっきりとしたディレイ感というのはかなり影響力が強くて、あれがあるかないかでかなり印象が変わります。
たまにある「BGMも声も各々は良い感じなのに、声の録音している感がつよい…」っていうのは大抵の空気感ズレが原因です。
ボーカル同士の元音源に音色の差があるとどう頑張ってもどちらかが浮きます。マスタリングも難しくなります。
だからみんな複数人のボーカルがいるときはEQやコンプで近づけようとしますよね。
これをリバーブでもやる必要があります。
リバーブというのはコンプやEQに比べて音源自体に作用するものではなく、音源を変化させたものを付加する形がほとんどだと思うので、コンプ類をかける前にやるだけで音色が似るのでお勧めです。
ボーカル同士の音を合わせるときは、いろいろいじる前に一度部屋鳴りを付加して書き出し(バウンス)しておくとよいです。
リバーブも含めてコンプをかけないとバランスが難しくなりますからね。
これは良い悪いではなく、ギャップが生まれるという話なのでテンプレ的に対応していると見落としてしまうようなものですので注意しましょう!
どちらもやり方は同じで
1.生の部屋鳴りに近いリバーブを欲しい量かける
2.なんかいろいろ云々する。
3.なるべく部屋鳴りのようなリアルな音を避けて、長めで空間が意識しやすいリバーブを重ねる。(キャラクターの濃い物でも良いでしょう)
という感じです。
最終的には耳を頼りにしなければなりませんから、あまりテンプレ的にお気に入りのリバーブばかりかけていると上達しません。
リバーブはプリセットで使い方を覚えよう
個人的に、ミックスが上手くなる万能な方法だと思っています。
プリセットというのは、パラメータを既に設定し、それを選択するだけでその効果が得られるというものです。
リバーブは特にプリセットを持つものが多く、それらの効果もわかりやすいです。
個人的には「Vocal Reverb」などと書かれているボーカル用のリバーブだけではなく、それ以外のいろんなプリセットも試してみることをお勧めします。
ボーカル用のプリセットも良いのですが、やはり無難な物ばかりなのであまり勉強にはなりません。
慣れてきたら色んなプリセットを試してみて、気に入ったものがあればそのパラメータを確認してみましょう。
パラメータをいじってみて、その変化を聞いてみるのも良いですね!
一からいろいろやるよりもずっとわかりやすいですし、その共通点などにも気づけるはずです!
まとめ
いかがでしたか?
今回はリバーブ、特にボーカルのためのリバーブについてお話してきました。
リバーブはボーカルを仕上げる大きな要素です。
是非、一度丁寧に向き合ってみてください!
今回紹介した内容を押さえていれば、必ず自分の好みがわかり、また自由にコントロールできるようになるはずです!
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